秋から冬へ

校長 永井康博

 
 冬の訪れを感じる季節となりました。最近、徒歩で通勤することを意図的に増やしています。歩いていると、街の木々が徐々に紅葉し、そして落葉していく様子が、よく分かります。朝の空気の違いとともに、秋から冬への季節の移り変わりに気付かせてくれます。車で通勤している時には味わえなかったことです。
 日本文化のひとつに、「季節感を重んじる」という点があります。それは季節の変化を肌で感じ、それを楽しみながら生活をするということです。季節の変わり目に着目し、それを観察し価値を見い出してきたことで、春・夏・秋・冬の四季とその変化を楽しむ国民性が育まれてきたのではないでしょうか。
 ただ、昨今の地球規模での気候変動により、四季がはっきりしていた日本の気候も大きく変化しつつあります。夏が長くなり、やっと暑さから解放されたと思ったら、秋をゆっくり楽しむ暇もなく、もう冬がやってきています。地球温暖化の一番の原因は温室効果ガスにあると思い、常日頃より無駄なエネルギーを使用しないなど、なるべくエコな生活を心掛けているつもりの私ですが、考えさせられる場面に遭遇したので紹介します。
 先日、デパートに買い物に行った時のことでした。私の前にいた女性が、包装された商品を紙袋に入れて手渡そうとしていた店員さんに対し、ごく自然な形で紙袋を辞退して、商品だけを受け取り、バッグに納めていました。最近はスーパーやコンビニでレジ袋が有料となり、マイバッグを持参したり、品物を直接受け取ったりすることが普通になっていますが、デパートで無料の紙袋を辞退する姿は初めて目にしました。
 地球の温暖化が猛スピードで進行し、沸騰化の時代とも言われるようになっています。先日、ブラジルで開催されたG20の首脳会議でも気候変動対策が議論されたり、アゼルバイジャンで気候変動対策を話し合う国連の会議、COP29が開かれたりして、世界規模での取り組みが強化されつつあります。
 先程の女性がとった行動は、地球温暖化(沸騰化)対策を国や企業まかせにせず、我々一人ひとりが、できることから実践していかなければならないかを、改めて考えさせられた一コマでした。
 
2024年12月02日