■済美平成中学開校
教育が臨時教育審議会や中央教育審議会で大きく打ち出され、世間でも脚光を浴びるようになったのを背景に、地域社会のニーズや将来の少子化を見すえて、 済美学園においても平成7年3月14日の理事会で、従来の済美高等学校・済美幼稚園に加え、男女共学の6年制一貫校の設置が決定された。さっそく、同年の4月1日には中高一貫設立委員会が発足し、委員長に池田逞(現済美平成中学校長)が就任し、 2年先の開校をめざして準備にとりかかった。池田は私学文書課長を通じて県知事に提出する「中学校設置認可申請書」と 23項目に及ぶ関係書類の作成に精を出すかたわら、すでに中高一貫教育を実施している首都圏の青稜中学校・高等学校、 公文国際学園などの先進校の見学訪問に余念がなかった。翌平成8年度からは森貞聰(理科)と坂東梅生(社会)が新しく委員に加わり、 新設校のカリキュラムや教材・教具などの諸準備に当たった。また、7月に入り県より新設校の設置認可内定通知を受けるや否や、 中予一円の107校の小学校や250に及ぶ学習塾を逐一訪問し、中高一貫校の宣伝や生徒募集に尽力した。9月28日と10月26日には 済美高校コンサートホールで入試説明会を開催し、中高一貫制のメリットや新設校の教育方針・内容についての詳細な説明が行われた。 学校名は、済美高等学校教職員より募集し検討した結果、「済美平成中学校」と決定した。藤崎一隆理事長は済美平成中学校第1回入学式のあいさつの中で、 「この済美平成中学校の名称は済美学園が平成の時代に設立した中学校であるということだけでなく、中国の古典に基づいています。 中国の歴史書『春秋左氏伝』と『史記』の中に済美平成という言葉が出ています。済美は子孫が父祖の遺業をついで良い行いをするという意味で、 平成には国の内外にも天地にも平和が達成されるという意味が込められています」と述べている。
一方、校舎の建設は、松山市南斎院町373番地の1の済美スポーツパーク内で、8年8月24日第1期工事の地鎮祭と起工式を皮切りに開始された。 構造は鉄筋コンクリート造5階建ルーフ瓦棒葺で総面積3,024.24、全館エアコンを完備した管理室・図書室など14の特別教室、 11の普通教室などが総工費6億3千7百万円をかけて、翌9年2月28日に竣工した。また前庭外構工事も12月より実施され、 玄関前の本校のシンボルともいうべき欅の移植を終えて完了した。
かくて、4月5日新築落成式が、地元国会議員をはじめ、県当局ならびに教育関係者など約350名の列席のもと済美アリーナにおいて盛大にとり行われた。続いて、4月7日桜花爛漫の中記念すべき済美平成中学校第1回入学式がめでたく行われ、1期生65名が希望に胸をふくらませながら校門をくぐった。
また、生徒の増加を見こして、9年12月10日より第2期の増築工事(職員室・家庭科室・理科室・普通教室など)が行われ、10年7月29日に中高一貫完成時の12学級480名に対応する施設が一応の完成をみた。