創立百周年記念式典

平成13年5月19日

創立百周年記念式典は5月19日愛媛県県民文化会館メインホールで、祝賀会は真珠の間で開催された。なお、同窓会総会は式典に先立ってサブホールで開催された。記念式典では、本学園の創立者である澤田亀・船田操両先生のご遺族をはじめ、県内外、各界から多数の来賓の方々、教職員・生徒3,000名が集い、先人のご労苦を偲ぶとともに、ご功績を讃え、済美二世紀に向かって新たな決意を誓った。

「輝く新世紀への誓い」
済美高等学校3年 二宮奈未子

済美高校には、あふれる不思議な力があります。それは、私たちの未知なる能力を引き出す力です。激動の百年の歴史の中で培われた力です。そのパワーが、教室に、校舎に、校庭に満ち満ちて、私たちを励まし、私たちの未来を示唆してくれていることを、常に感じます。今、私たちがこの済美で出会えたのも、その不思議な力の導きです。生涯を教育のために邁進された、澤田カメ・船田ミサヲ両先生。多くの人々の幸せのために全力を尽くした先輩。また大空への夢を抱き続け、遂に我が国最初の女流飛行家となった先輩。進取の理想を次々に実現していった多くの先輩。それらの方々の志を受け継ぎ私たちは常に自己の可能性への挑戦を忘れません。先輩方から受け継いだ「やればできる」の精神で、済美の生徒として、勁くたくましく努力を続けます。そして輝く済美第二世紀を創造する、一人一人になることを誓います。

「済美学園百周年誓いの言葉」
済美平成校5年 上田一仁

済美二世紀の始まりを迎えた僕達は、くしくも21世紀の入り口にたっています。そして、明日の見えない不安の漂う時代に投げ出されております。同時に、僕達はここ済美学園にいます。つまり僕達は、済美の百年の伝統と精神という確かなバックボーンに守られているのです。済美学園は百年前に女子教育の大切さを唱え新風を巻き起こしました。以来、済美学園は常に時代を切り開く先頭にありました。その由緒ある伝統の上に、1997年、済美平成校が創られました。男女共学、中高一貫教育校、済美平成校は21世紀への国際社会を担う人間のための教育ルネサンスの舞台として、新設されました。僕達はその舞台に立ち、明日のデビューを待っています。僕達はやがて、日本へ、世界へとはばたいて行きます。だからこそ、今、世界に通じる高い志を持たなければなりません。混沌とした21世紀の世界に、情熱の火と希望の光を灯す人間になるために、僕達は力を尽くすことをここに誓います。

思わず拍手を送った。傍らの生徒指導係の柳原先生もマイクを手に「君たちは本当によくやってくれた。」とねぎらいのことばを生徒たちにかけている。生徒たちも大きな拍手で応えてくれた。式典が終了し、緞帳が降り、来賓が退場した後、我々は愛媛県民文化会館メインホールステージから2,200名の素晴らしい生徒に向かい合っていた。1年余り前から準備にとりかかった記念式典がおわり、それが成功したと感じた瞬間であった。

 平成12年4月17日済美学園創立百周年記念式典および関連事業実施のための準備委員会が開かれ諸事業の概要案づくりがはじまる。式典まで1年をきった5月29日には準備委員会を実行委員会に格上げし具体化された作業の第一歩を踏み出す。「出席者が『アッ』と驚くような式典を期待する。」という理事長の言葉に責任者としてヤル気と不安が交錯する。生徒・園児2,200名、招待者300名、教職員230名、同窓生は式典直前まで人数は把握できないなどの厳しい条件のもとで膨大な作業がひとつずつ進められて行きこれらが実行委員会で検討され、議論し、練っては変更・訂正が繰り返されながら月日が経って行った。

 式典に関する内容が職員会で発表されたのは年が明けた1月、第3学期のはじめで各係の準備はマニュアルに従ってようやく軌道にのってきた。同じころには創立百周年を記念して作られていた学園歌が完成したが、これを機に学園歌の指導が大きな課題となる。13年度新入生はまだ入学していない。式典当日の生徒の行動・態度とともにこのことは式典が終わるまで頭からはなれることはなかった。

5月19日は新緑も鮮やかな五月晴れで明けた。会場の愛媛県民文化会館は華やいだ和服姿の女子教職員らによる受付ではじまり、案内・接待係の生き生きとした動きに成功の予感がする。「百年の栄光~一世紀の時を超え、今~」舞台は整った。演出に工夫を凝らした式がはじまり壇上の学園関係者の緊張のなかにも晴れやかな表情がまぶしい。司会を務める生徒の落ち着いた進行で理事長、来賓祝辞が続き、天真爛漫済美幼稚園園児が園歌斉唱のため登場すると、静寂と緊張につつまれていた会場に微笑がもれる。平成校、高校の校歌も見事な出来映えで式が盛り上がってくる。校長挨拶に続いて生徒代表二宮・上田両名が溌剌・堂々としかも爽やかに二世紀への『決意』を述べる姿に頼もしさを抱かされる。決意終了に合わせた絶妙のタイミングでステージに並んでいた115名の生徒・教職員混声コーラスグループと客席の生徒全員が一体となった学園歌の大合唱が始まった。広い会場を揺るがす壮大で美しいハーモニーに、胸にこみあげてくるものを押さえ切れずに涙をぬぐう同窓生・旧職員の姿も見える。

出席者3,000名すべてが感動した式典が終わった。規模が大きいから感動も大きい。生徒たちの顔が煌めいていた。