キャッシュレス化の進行に思うこと

校長 永井康博

 昨年度から日本私立中学高等学校連合会の評議員を務めることとなり、会議で東京に行く機会が増えました。今回は1泊2日の日程でしたが、松山出発から帰着まで全てがスマホ1台で完結し、現金を使うことが1回もありませんでした。具体的に言うと、航空機・ホテルはスマホで事前に予約をし、代金はクレジットカードで決済。航空機搭乗の際はスマホのQRコードのタッチでOK。東京の乗り物もモバイルスイカをタッチすればJRも私鉄も全てOK。今回驚いたのは、立ち寄った小さな定食屋さんが、スマホ決済かクレジットカード払いのみで、現金払い不可だったことです。
 ちょっとした旅がスマホ1台あれば全ての決済が可能という、大変便利な世の中になったと素直に思いたいところですが、現金に直接触れ、それを人と人との間でやりとりをすることによって、お金のありがたみを学んだ世代の人間にとっては、何か「虚しさ」と「物足りなさ」を感じるのです。
 済美高校においても、授業料・諸経費など学校で徴収させていただく費用は、全て口座引き落としとなっています。現金で集金することは、基本的にはありません。
 我々の世代は、現金での集金が基本で、小学生でも給食費・学級費などの集金がありました。担任の先生から集金袋が配布され、それを持ち帰り親に現金を入れてもらい、翌日学校に持参するのです。先生に渡すまでは何とも言えない緊張感があったとともに、現金をもらうことによって子どもなりに親への感謝の気持ちが自然と生まれていたような思い出があります。政府もキャッシュレス化を強力に推進しているので、現金を扱うことは確実に減っています。生徒たちの「お小遣い」も、現金ではなく、電子マネーで親からもらうことも多くなっているのではないでしょうか。

 この先、もっと進んでいくのであろうキャッシュレス化。お金のありがたみ、人間的なコミュニケーションの大切さという観点も踏まえて、私たちの生活にどのように取り入れれば良い社会を築くことができるのかを考えていきたいものです。

 5月31日に、愛媛県武道館にて第78回愛媛県高等学校総合体育大会の開会式が行われ、済美高校の生徒も堂々とした立派な行進でした。また、新体操部が5年連続優勝、ソフトボール部が3年連続優勝の表彰を受けました。さらに、合唱部の生徒が高体連の歌を斉唱し、式典を盛り上げました。
2024年06月03日